１　岡部公明（2014）　『経済政策「アベノミクス」の評価における二つの盲点　期待依存と円安依存の限界』,ＳＦＣディスカッションペーパー,ＳＦＣ－ＤＰ2014－005 　岡部（2014）は本論において、アベノミクスが日本経済にもたらした成果を踏まえつつ、過去アベノミクスを評価する場合に従来見過ごされがちであった二つの論点、いわゆる期待依存と円安依存という問題を指摘し、考察した。

作者は第一節で金融政策の効果波及経路に関する日本銀行の見解を紹介するとともにそれを批判的に検討し、第二節で円安の効果を短期的な側面と長期的な側面から理解する必要があることを指摘するとともに、長期的にはなぜ円高方向こそ望ましいかと説明した。

2　長内智　岡本佳佑（2016）　『アベノミクス下で見られる賃金の特徴と今後の課題―好循環の再起動に向けて』,大和総研調査季報,新春号,Vol.21 　作者（2016）は本論において、アベノミクス下で見られる賃金の特徴と今後の課題について分析した。

第1章ではアベノミクスの第1ステージで物価の伸びを明確に上回るような名目雇用者所得の上昇が実現できていないという点に課題が残されたと述べた。

第2章では、賃上げに向けた取り組みと年金調整という逆風下で、「年金受給者」の多くは景気回復の恵みをほとんど実感できていないと指摘した。

第3章では労働生産性の向上と賃上げの持続性について述べた。

最後、アベノミクス第2ステージに向けた課題を簡単に展望した。

3　谷口洋志（2015）　『アベノミクスの経済政策』,中央大学経済研究所Discussion Paper,No.250,中央大学経済研究所 谷口（2015）は本論において、数多くの図表と数値を通して、アベノミクスの内容（政策目標と三つの政策手段と具体的数値目標）、理解、成果と評価を詳しく述べた。

さらに、成長率、失業率など経済指標を加え、それらによって分析し、日本経済はどのように変化したかと、数値から比較すると第1の矢と第2の矢がどうなったかと結論を出した。

4　吉川富夫（2016）　『時代背景から見たアベノミクスの政治#183;経済分析』,大阪経大論集,第67卷第2号 　吉川（2016）は本論において、第2次安倍政権発足後の経済政策を本論での「アベノミクス」とみなし、2012年12月以降の当日までの日本経済の推移を見ると、五つの要点を総括した。