文 献 综 述

　1、バーチャルアイドルとアニメ

　Wikipediaに「ヤマハの開発した音声合成システム『VOCALOID』に対応したボーカル音源で、メロディや歌詞の入力により合成音声によるボーカルパートやバックコーラスを作成することができる。また、声に身体を与えることでより声にリアリティを増すという観点から女性のバーチャルアイドルのキャラクターが設定されている」と、バーチャルアイドルの定義をされている。一般的には「アニメーション」は「アニメーション映画」の略称として使われる場合が多いが、人形劇などのように人が操作して演技させることもアニメーション行為といえる（山口康男2004）。

　２、「初音ミクとは何だと思いますか？」『マイナビニュース』　（2012.3.24.）　

日本のマイナビニュースは2012年3月に、マイナビニュース会員の男女1000名を対象としてバーチャルアイドル歌手「初音ミク」の人気の理由について、インターネットログイン式のアンケートを行った。「オタク受けするキャラデザイン」(29歳/男性/その他/技術職)、「萌え系ビジュアルで、人間にはない良さがある」(39歳/男性/建設#12539;土木/技術職)といった、”見た目”に関する意見があるが、「ファンたちの創作によってキャラクターが作られていくことが魅力だと思う」(26歳/女性/小売店/販売職#12539;サービス系)、「アイコンとしてのキャラ付けがよかったのだと思う。特定の物語を持たないので、いろいろな場面で活躍できる」(27歳/男性/その他/その他)という声もある。閲覧者の立場から「自分と同じ素人が作った歌は、とても身近に感じてより共感できる」(24歳/女性/その他/その他) 、「プロでもない普通の人の、隠れた感性によって多彩な曲が生まれる」(22歳/女性/農林#12539;水産/専門職)という感想も目立った。調査結果は、バーチャルアイドルの人気の秘密はそのキャラクターの素直にかわいいデザイン、創作の幅が広がる自由度の高い環境、優れた音楽ソフト、およびネット文化との相性などと関係があることを示した。その結果はある程度に参考になれる。

　３、『交際の角度からみる日本の「オタク族」文化現象』（王雲紅　2009　河北師範大学学報）

　作者は「『オタク族』は現実的な生活の中で人との直接の交際が下手であるため、自分の趣味を通して『他の自分』を造って人と交流する。『オタク族』はバーチャルリアリティに興味を持って自分なりの仕方で説明し、表し、その中の人に交流してみる。」と述べている。この文章は、「オタク族」の交際の仕方を考察し、その文化現象の本質を探究してみた。オタク族はネット文化を共通の趣味として、バーチャルリアリティの世界を楽しんでいることを指摘された。さらに、バーチャルリアリティが若者の交際の仕方に与えた影響を分析した。この点でオタク族がネットで流れているバーチャルアイドルの流行することに推進する役割を果たしたことが推測できる。

　４、『ニコニコ動画は大変な可能性を残していきました』小倉智賢（2007）

　この文章には、ニコニコ動画の「リアルタイムコメント」と呼ばれるコメント機能と、視聴者が参加できる幅が広いということと、会員制であるという三つの特徴が詳しく紹介された。最大の特徴とも言えるリアルタイムコメント機能とは動画最生中にコメントを書き込むと投稿順に記録され、投稿が成功した直後からそれが画面の右から左へ流れていくというものである。個々のコメントが別の時間で投稿されていても動画内の時間軸においては常にそこに書き込まれた時と同じタイミングで表示されることになるため、閲覧者はチャットや掲示板のような時系列とは異なった「実時間を超越した模擬的な時間共有」を体感することが出来るようになっている。こうした時間の概念をコメントに導入したことで、ニコニコ動画は従来の動画投稿には無い「利用者同士の一体感」を獲得することに成功し、新たなコミュニティーの場を生み出した。作者によると、「初音ミクが爆発的な売れ行きとなったことについて、クリプトン社はコアユーザが積極的にニコニコ動画に投稿したこと、その動画を見たユーザの反響が大きかったことを要因と考えている」。

　５、『オタク族:アニメ産業の発展の新動力』劉健（2008）