文 献 综 述 1.岸田国士（1952）『「古い玩具」あとがき』岩波文庫 この文章には、作者は「古い玩具」の創作背景を紹介する。

作者は「当時の日本の演劇界に対して、幾分の批判を含んだ、新しい演劇美の創造をめざした戯曲創作の希望が、やゝ明確に、私の進路をさし示した。

」と言った。

そして、「この作品で、私は、正面から民族問題を扱はうとしたわけではなかつた。

むしろ、東洋の一青年としての孤独な旅の感傷が、わづかに戯曲といふ、当時私の関心の的であつた文学形式にもられることで満足した。

」という本題を掲示した。

2.岸田國士（1935）『紙風船』について「文壇出世作全集」中央公論社 この文章には、『紙風船』の創作背景を紹介するとともに、外界の批評に対して自分の考えも書いた。

3．宮本啓子『岸田国士「古い玩具」#8212;再考女性を中心にして』 PDF版 宮本啓子（2008）『岸田国士「古い玩具」再考#8212;女性を中心にして』によると、眼の重要性から、白い羽根のついた帽子、日本風に洗練された女、二つきりの世界、運命の友情五点から、『古い玩具』の女性キャラクター房子とルイーズを分析する。

4. 宮本啓子『岸田国士前期劇曲論#8212;純粋演劇における「不在」の表象』PDF版 『岸田国士前期劇曲論#8212;純粋演劇における「不在」の表象』によると、「不在」という表面から、二元論の世界観の支配的であった時代に抵抗を試み、階層秩序の最下位に置かれた房子にその二元論を乗り越える可能性を検討した。

その試みは先見性が持った、それゆえこの女性像は研究の価値があるとおもう。